ボラレ松 カウンター語り

土曜、地元の住宅街にポツンとあるちょっと洒落た焼鳥屋のカウンター。お盆ってコトもあってか、かなりの混雑で、メニューも「おまかせ」のみという具合。とは言え、そのおまかせも相当美味しく、あと数品が出てくるって時点で、かなり満腹&満足。最後に生でも食べられるとうもろこしの炭火焼きをちびちびと食べてるトコに、男性二人組が入店。色黒の坊主アタマと色白のメガネ。地元の先輩後輩って風情。オレの隣のカウンター席が空いてたんで、そこに着席。一通りのオーダーをして、生ビールで乾杯した彼らのたわいもない雑談をなんとなく聞いてた。しばらくして色黒の坊主アタマの男性が「おぉ、この前の話、ちょっと聞いてくれよ」って語り出した。


いやぁ、この前よぉ、M(地名)のキャバに行ったんだわ。
K(地名)の店の支店がオープンらしくてさ、K店にいたボーイが店長に昇進して行ったらしくてよ。オレ、K店の常連で、そのボーイとも仲も良かったしで、店長になったから来てくれってオレのケータイに営業メールが来てたから、まぁ顔見に行ったのね。そしたら、お盆だったからガッラガラでさ、オレと後輩とB社の親方の3人で行ったんだけど、もぉ貸切状態でさ。
で、事前にその店長に連絡したら、通常1時間4,000円のセット料金を3,500円にしてくれるってコトで、3人の嬢が付いたんだけど、コッチとしても多少値引きして貰ってるからって、嬢にも何杯かドリンク飲ませたんだわ。で、まぁ普通に楽しく飲んでたら、B社の親方が1時間だけで帰るって言うからオレらも1時間でシメてもらったのね。そしたらよ、お会計97,000円って言うワケさ。
はぁ?ってカンジじゃねぇ?スグに店長呼べって言ったら、アイツもぉ帰ったって言うから呼び戻させてよ、説明させたワケよ。そしたら、なんか、オレらに付いた嬢3人が、それぞれ15杯とか飲んだ計算になってんのよ。1時間だぜ?オレだって4杯ぐれぇしか飲んでねぇのにだぜ。オレも2回ぐれぇは飲んでイイよって言ったけど、毎回客の了解も取らずに飲んでるコトになってるしでよ。
コッチは馴染みの客のつもりで、店長の昇進祝いのつもりで来てやってんのによ、どんだけボッタクってんだって話だよ。そしたらよ、店長も伝票出してきやがって、見るとやっぱり1人で15杯とか書いてあんのよ。普通、15杯とか飲んだらベッロベロだろ?1杯2,000円とかだぜ?いくら嬢にバックされんのか知らねぇけどよ、おめぇんトコの店、嬢の教育どうなってんだって、コッチもキレてよ。
ラチ開かねぇからって、今度はオーナー呼んでもらってよ、ちゃんと説明しろって。その時点で帰るって言ってから1時間半ぐれぇ経ってんの。で、気が付いたら親方が居ねぇの。トイレでも行ってんのかと思って10分待っても20分待っても帰ってこねぇから、あぁ、バックレたなって。
で、オーナー待ってる間に、その店長とも話してさ、ヤツも店に居たワケじゃねぇから詳細は分からねぇって言うワケ。でも伝票はあるし、店長として従業員の言い分も聞いてやりてぇと言うワケ。ヤツもオレのコト知らねぇワケじゃねぇし、そりゃコッチも同じじゃん?誰がウソついてるかって、お互い分かってるんだけど、店長の立場としては嬢を守らなきゃいけねぇっていうヤツの気持ちも分かるワケさ。で、お互いにニラミ合ってたら、結局、その雰囲気に耐えられなくなった3人の嬢がドリンクバックいらねぇとか言い始めてよ。そりゃウソなんだもんな。店長と馴染みの客って知らねぇもんだから、伝票に飲んでもねぇウソの数書いてたんだろ。さすがに10万までいくとヤバイって97,000円にしとけ、1人30,000円ちょっとにしとけ、みてぇなさ。多分、ボーイもグルなんだと思うけどね。
んで、しばらくしてオーナーってのが到着して、まぁ、その時点で嬢は席を外させて、オレらとオーナーと店長で話してさ。オーナーも途中で事情を聞いてたんだろうな。思ったよりも冷静な対応でさ。コッチもヤクザじゃねぇから、正当な請求なら払うよって言ってさ。まぁ、向こうとしても嬢が一人で1時間15杯なんて常識的じゃねぇのも分かってるし、でもオーナーと店長って立場もあるしでさ、結局、グダグダと話して、最終的に70,000円の請求ってコトになったワケよ。それでもあり得ねぇ金額だぜ?オレら3人居て1時間でトータル15杯も飲んでねぇのにな。でもソコでオレがゴネてもカッコ悪いしよ。向こうも折れてきてるんだから、コッチも折れねぇワケにいかねぇって、それで手打ちだよ。で、オレが5万払って、後輩が2万払って、それで店出たの2時半過ぎかな。ふざけんなって話だよな。そこからタクシーで帰ったよ。
まぁ、向こうのオーナーも店長も、帰り際にちゃんと謝って、っつ〜か、謝ったら自分らに非があるコトを認めちゃうから、そうは言わねぇけど、そんなカンジのコトを言うワケ。新店だから嬢の教育が至らなかった点もある、的な。ただ、次回の来店の際に事前に連絡をくれたら、相応のサービスはさせてもらう、的な。だからまた来てくれって。店長も、わざわざ来てもらってありがとうございましたって言うしさ。今度はM店の常連になってくれってさ。オレとしても、最初は気分悪かったけど、元々知らねぇヤツじゃねぇし、オーナーも誠実に対応してくれたってのもあるしで、まぁ最後には男気だよな。パッと5万払って帰ってきたってワケよ。後輩にはちょっと悪いコトしちゃったけどな。まぁ2万だけ協力してくれって。B社の親方は、まぁイイんだ、オレの馴染みの店に行くって言って、ムリに来てもらったしさ。いつもお世話になってるから、元々オレのオゴリってコトになってたし。まぁ2度と誘わねぇけどな。
あの店長、あの後、オーナーから説教だろうな。で、あの3人の嬢もボーイもかなり怒られるんじゃねぇの?客商売じゃ当たり前の話なんだけどさ。
・・・で、今日、これから行ってみねぇ?同じ嬢が居るかは知らねぇけど、どんなサービスされるか知りたくねぇ?タクシーでスグだし、ちょっと行ってみねぇ?


懲りねぇなぁ、もぉ。まだ話がこなれてねぇから時系列が前後するけど、多分、あと数回、どっかで話したらかなり面白い話になると思うわ。97,000円が70,000円でも高ぇっての!単純計算で40,000円でも高いぐれぇだっての!こうやって人ってのはボラれるんだねぇ。怖い怖い。キャバなんて行くモンじゃねぇな。
TARが小耳に挟んだ『ちょっと面白い話』でした。