劇団、本谷由希子 番外編『ぬるい毒』観劇

すっかり空気も秋らしくなり、朝夕は肌寒いぐらい。お陰で寝やすくて、朝起きるのがつらいTARです。



昨日は観劇ツアー第三弾、劇団、本谷有希子 番外編『ぬるい毒』を観に、大番頭Sと新宿紀伊國屋ホールへ。
実際には「劇団、本谷有希子」の舞台ではなく、本谷有希子の短編小説をベースに大幅加筆した戯曲を、本谷有希子とは別の人(映画『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞を獲った吉田大八監督)が演出した舞台。正式な標記が「劇団、本谷有希子」の”本谷有希子”部分に斜線が引かれているコトからも分かるとおり、劇団、本谷有希子とは別のモノ。本谷テイストを期待して行くと肩透かしを食わされる。


え〜っと。ナニから書くかな。
まず、席が最前列。うちの大番頭Sが「舞台を観るなら前に越したコトはねぇ!」っていう”チケットギャング”なんで、ヤツが手配したチケットって毎回こんな席。あり得ねぇ。どんな能力を発動してるのか知らねぇけど、最前列なんて普通、取りたくてもそうそう簡単に取れる席じゃねぇだろ?分からないわぁ。先日のヨーロッパ企画の舞台では、15列目ぐらいで「うわぁ!遠いわ!これじゃ役者の顔が観えないわ!」連発。十分観えるっての!ド近眼か!


主演は夏菜。大コケした朝ドラ『純と愛』のイメージや、CMのイメージがあって、もっともオレが苦手なタイプの女優さん。健康的でハツラツとしたイメージ。『純と愛』でも逆境に立ち向かっていく役だったでしょ?そういうのが得意じゃない。今TVで流れてるCMは髪が短い夏菜ですが、今は髪が長く、それだけでオレのイメージとは違って「おっ?」って思わされた。
演技については、全然期待してなかったんだけど、悪くなかったです。あ、ごめんなさい。かなり良かったです。最初からハードルが低かったっていうのはあるけど、それを差っ引いたとしても良かったです。また彼女を目当てに舞台を観に行くかっていうと微妙だけど。困った時の目の動きや手の動き等、非常に細かい演技で「さすが朝ドラ女優、伊達じゃねぇな」と。
ただ、本谷が演出したら、もっとメチャクチャなキャラになってたんだろうなぁって。結局、たらればの話になっちゃうけど。


兎にも角にも、ストーリーがよく分からないってのは致命的。大番頭Sは事前に原作を読んでたらしいんだけど、オレは全く事前情報ナシ。ノーガード両手ブラリ作戦。
夏菜演じる熊田由理は、詳しい理由もなく「23歳で自分の人生は終わる」と信じ込んでる女性。彼女に突然「高校時代の同級生」を名乗る男”向伊”から「高校時代に借りた本を返したい」と電話が掛かってくる。同級生の向伊?貸した本?そんな覚えが全くない熊田は、事態が飲み込めないまま、向伊に会う。
ココから、もぉ全然分からないの。基本的には主人公熊田由理の独白によってストーリーは進行するんだけど、男のオレには全然感情移入ができない。この向伊という男が熊田由理に接触した目的も分からないし、熊田由理が向伊と逢瀬を重ねる理由も分からない。そのセリフ、ウソなのかホントなのか?そんなコトをず〜っと考えながらの舞台。上演中に時計を何回も見たのって初めてだわ。だって、すんげぇ長く感じたんだもん。
この熊田由理って女性、本谷の本にありがちな”自意識過剰+自己愛過剰だけど、それを周りに悟られたくないメンド臭い女”なんだけど、彼女の心情が移ろっていく過程が見えなくて。いくら考えても分からない。途中から復讐劇っぽくなるんだけど、それもなんだか中途半端。本谷本人が「『ぬるい毒』は舞台化不可能」って言ってるぐらいだったのに、なんでコレを舞台化しようとしたのかなぁ?
でも、原作の小説『ぬるい毒』って芥川龍之介賞の候補にもなってたし、第33回野間文芸新人賞を獲得してる小説なんだけどねぇ。お話としては悪くないハズなのに。まぁ、後半、いや2/3ぐらいが後付けらしいんで、全然別のお話になっちゃってるんだと思う。


ちなみに、紀伊國屋の店内ポスターには「完売御礼」のシールが貼られてたけど、どうもかなりの数のチケットが関係者に配られてた模様。ロビーに並べられた贈花を見てたら、サラリーマン2人とOLの3人組が「お、うちの会社も花贈ってるじゃん」って。「うん。○○さんもそんなコト言ってた」そんな会話の先にある贈花の贈り主は女性用製品の某大手企業。あぁ、夏菜、CMやってるもんな。毎日、何枚かづつ、CMのクライアントに配られてたんじゃねぇの。某梅酒メーカーとか某消費者金融とか。その3人組も明らかにユ○チャームの社員っぽかったもん。


あ、それと、舞台の内容とは全く別の話。
4Fにある紀伊國屋ホールまで上がっていく途中、劇団☆新感線の看板女優である高田聖子さまと遭遇。オレ、初めて芸能人に声掛けたわ。「高田さん、もんのスゴいファンです。ブログ毎日見てます。握手していただけますか?」直前まで、ビールを2パイント飲んでたとは言え、シャイで有名なオレにしちゃあ大胆だったなぁ。聖子姐さん、突然のコトでビックリしてるし。「スイマセン」って逆に謝られちゃった。てへ。
で、終演後、ロビーで三浦春馬とニアミス。メガネに帽子で変装してたけど、オレ、ぶつかるぐらい近くに居たんでスグに分かった。意外に背が小さいのね。オレと同じぐらいだった。舞台上ではすげぇ大きく見えたんだけどねぇ。周りは全然気づいてない様子なのに、女性スタッフが「春馬クン、春馬クン、コッチコッチ!」って彼の手ぇ引くモンだから、周辺に居た人、気付いたんじゃねぇかなぁ。それでも、春馬、そのままトイレに入って行った。その後は知らない。
今回の舞台での収穫、コレぐれぇ。