「やめていいかなぁ〜?」「いいともぉ〜!なんて言うワケねぇだろ!」

ほこ×たて』打ち切りの危機だってさ。ばっかだなぁ、CX。泥舟船団の中でも数少ない”家族で楽しめる優良コンテンツ”だったのに、自らの手で沈めるとは、愚の骨頂。日本の製造業に元気を与える番組だっただけに、今回ヤラセを行った制作サイドの罪科は大きいわ。昔はTVを点けたらまずCXにチャンネルを合わせてたけど、最近はNHKか日テレに合わせるTARです。CX、ほっとんど観ねぇ。


タモリ論 (新潮新書)

タモリ論 (新潮新書)


なんてなコトを書いてるけど、結局はCXガラミのネタ。先日の「いいとも終了」のニュースの後、スグに書店に行って購入。コレ、今読まずしていつ読むんだ?ってカンジ。あまりにタイミングが良すぎて、現時点で13万部を突破した模様。もちろん、いいとも終了の事前情報が入ってたワケもなく、本書では「いいともはこれからも永遠に続く」という前提で書かれています。最初は、どっかのお笑い評論家気取りが書いた「芸人の面白エピソードを列挙したような、他人のフンドシで相撲を取ってる本」のつもりで読み始めたけど、いやぁ、面白いわぁ。
まず、なんと言っても、著者のタモさんへのリスペクトがハンパない。著者である樋口毅宏氏は現役の作家であるらしく(恥ずかしながら、名前すら知らなかった)、知識(というか記憶)の量がスゴい。かなり正確に過去のコトを覚えてて、それを限りなく客観的に書いている。(もちろん、編集者による検証はされているのだが)しかも、オレの記憶とかなりの部分がオーバーラップするトコが面白い。プロフィールを見るとオレと1歳違い(著者の方が1つ上)というコト。なるほど。ほぼ同じ年齢の頃に、同じTV番組を観て育っているらしい。そりゃあ、共有できる情報が多いんだもん、面白いに決まってるわ。ゲラゲラゲラ。


この本の白眉は、『タモリ論』と銘打ってるけど、基本的には『タモリを軸とした昭和から現在までのお笑いの変遷』になってるコト。タモさんの芸風を冷静に分析し、タモさんのドコがスゴいのかを説明しながらも、ある意味ではタモさんの最大のライバルとも言うべきビートたけしや、BIG3と並び称される明石家さんまの芸風にも言及し、その鋭い切り口で彼らを評している。また、とんねるずダウンタウンの話題にも広げているトコロが、単なる『タモリ論』にならずに終わっている著者の上手さ。比較対象に対しても詳細な情報を出すコトで、タモさんを際立たせるテクニックが上手い。この人、超がつく程、TVっ子で、かつ記憶力がめっちゃめちゃイイ。この人の小説も読んでみたくなったわ。


本書の最後では「いいともの最終回」についても言及しています。もちろん、前述のとおり、刊行されたのは例の発表の前ですから『いいとも』がまだ終わらないという前提での記述ですが、驚くべき洞察力によってかなり予言めいた書き方になっています。あまり書くとネタバレになりますから、これより先は、書店で手に取ってみてください。
とりあえず「物心ついた頃からお昼の顔はタモさんだった」という若い人に読んでもらいたい一冊。多分、そういう若い子って、タモさんは最初からあのポジションに居たと思ってるんだろうけど、そうじゃねぇんだよ、って分かる一冊。是非!オススメ!


さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫)

さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫)