お金は大事だけど、もうちょっと大事なコトもあるよ

先日の大阪出張で100円ライターを失くしたんで、喫煙者の後輩の机の上から1個くすねてきたんだけど(もちろん「ライター頂戴します。CAT'S EYE」ってカードは置いてきたわよ)、そのライターの横に「Circle K Sunkus」って書いてあったのね。えぇぇぇ!?サークルKサンクスの英語表記って「Circle K Thanks」じゃねぇの?納得いかないTARです。


TVでも既にクリスマス関係のCMが流れてきて、山下達郎&竹内まりあ夫妻の稼ぎ時のシーズン。これからイベントが立て続けに待ち構えている冬。愛を語らう季節ですな。とは言え、不景気が続くココ数年の流れなんだとは思うけど、正直「デートで割り勘」っていうネットの話題に理解が出来ない。ネット掲示板でも「彼がデート代を割り勘にするんですが・・・」って相談が頻繁に上がってるのを見て、もぉオッサン、声を大にして言いたいわ。
「男のクセにメシ代を割り勘にするくらいならデートするな!」
「女の方もメシ代を割り勘にするような男と付き合うな!」
日本男児たるモノ、女性に奢るために自分の食費を削るくれぇの心意気を見せろっての。なんなら、実家を抵当に入れてでも金を作れっての!ふんとにむぅ!『武士は食わねど高楊枝』って言葉を知らんのか?男なんだから見栄ぐれぇ張れっての!虚勢でもイイんだよ。若いうちは。オッサンになって虚勢張ってると、ただ単にお寒いだけなんだから。張れるうちに張っておこうぜ?なぁ?もぉ、ホントにビンボ臭いコト言ってんなって。持ってるマンガやゲームでもBOOK-OFFに売りゃ数千円になるべよ?え?そういうのも無いの?もぉ売っちゃったの?あらららら。じゃ、じゃ、じゃあ、アレだ!肉体労働しろ!現場で働け!ホントにさぁ、ファミレスとかカラオケとかでクリスマスデートを済まそうと思うなよぉ。こんなコト書くと「ホントに金がねぇんだからしょうがねぇだろ!」って反論する若い衆が居るだろうけど、そういうヤツに限って、基本料の高いスマホ使ってたりするから性質が悪いわなぁ。なんか、不景気を理由にして、金の使い方を知らない若い子が多くなってる気がするわ。ちょっとソコにお座んなさいな。


落語や歌舞伎に『文七元結』って噺があるのね。
ろくでなしの左官職人の長兵衛は、博打好きが高じて多額の借金を抱える男。年の瀬のある日、相も変わらず博打に負けて身ぐるみ剥がされた長兵衛がほうほうの体で長屋に帰ると女房が泣いている。どういうワケかと尋ねると、娘がいない。どうも吉原の女郎屋から遣いがあり、娘を預かっているからすぐに来いという。話を聞いた長兵衛、女房の着物を一枚羽織って、急いで女郎屋に駆けつけてみると、娘が女郎屋の女将の横で泣いている。どういうコトかと娘に問うと、女郎屋に身売りして金を工面し、その金で父親に博打から足を洗ってもらおうと思い家を出たという。娘の覚悟を聞いた女将は博打狂いの長兵衛に懇々と説教し、これで博打を止めて改心するなら年越しの金として50両を貸してやると申し出る。女将としても、常日頃から付き合いのある長兵衛の娘に店の手伝いをさせるだけで、女郎として店に出す気はない。しかし、来年の大晦日までにその金を返せなかったら、娘は女郎として働いてもらうと言う。父親として情けなく思いながらも、この年の瀬に50両は大金。すっぱり博打を止めると改心した長兵衛は、娘と女将にアタマを下げ、必ず迎えに来るからと50両の金を持って帰路につく。
その帰り道、大きな川にかかる橋で身投げしようとしている若い男を発見する。長兵衛は飛びついて男を組み伏せ、ナニがあったかワケを聞くと、男は大店の奉公人の文七といい、店の遣いで売上金50両を取りに行ったが、その帰り道で金を掏られてしまったと言う。このままでは店にも帰れない。いっそ身投げしようと橋に立っていたところに長兵衛に止められたとのコト。話を聞いた長兵衛は、娘が身売りして工面してくれた50両を差し出し、これを持って店に帰れと言う。文七としても、見ず知らずの他人に50両もの大金をもらう義理もなく断るが、長兵衛も、娘が身売りして工面した金だが命には替えられない。娘はキズモノになるかも知れんが死ぬワケじゃないと、頑として受け入れず。押し問答の末、文七に50両を投げ付けるようにして長兵衛はその場を走り去る。
思いもかけず50両の金を手にした文七が恐る恐る店に帰り、遣いの売上金50両を店の旦那に差し出すと、旦那は不審顔。実は文七が身投げしようとしている間に、遣い先の店から知らせがあり、文七が碁に熱中して遣いの50両をそっくり店に置いて帰ったとのコト。既に売上金の50両は店に届けられていた。さて、文七が持って帰ってきた50両は、どこでどう工面したかと問う旦那。仰天した文七は、長兵衛に会った橋でのコトのあらましを白状する。それを聞いた旦那は、世の中には親切な人がいるものだと至極感心した様子で、どこかに別の遣いを出し、あれこれと手配して段取りを整えた。
翌日、店の旦那は文七を引き連れて長兵衛の長屋を訪ねる。長兵衛の長屋では昨日の夜から夫婦喧嘩が続いていた。旦那が慌てて仲裁に入り、昨日はうちの奉公人が大変なお世話になり、とアタマを下げ、懐から50両を取り出し長兵衛に返そうとする。しかし長兵衛は、江戸っ子が一度やると言ったモノは受け取れないと突き返す。またもや押し問答の末、今度は長兵衛が根負けして50両を受け取るコトになる。しかも旦那は、心の真っ直ぐな長兵衛に、身寄りのない文七の親代わりになって欲しいと養子縁組を持ち掛け、長兵衛も了承する。祝いの席を設けようと旦那が表から招き入れたのが長兵衛の娘。昨晩、話を聞いて長兵衛の心意気に惚れた旦那は女郎屋から娘を身請けしてきていた。涙ながらに再会を喜ぶ親子。そのまま長兵衛と旦那の店は親戚付き合いをするコトとなった。
その後、文七と娘が夫婦となり元結屋(髪を結うこよりのようなモノ)を開いたコトが演目の由来。


な?こういうのが男ってモンじゃねぇの?粋だろ?長兵衛も粋だけど、大店の旦那も粋だろ?女郎屋の女将ですら粋じゃねぇか!もぉ、こういう人情噺、大好き!ハッピーエンド!あとはねぇ『井戸の茶碗』も堪らんねぇ。これも粋なお侍さんが出てくるんだわ。
・・・って、なんの話だっけ?ナンノ(略)そうそう!金の使い方の話だよ!このお話、誰も「金、金」って心意地の汚ぇコトを言ってねぇ。そりゃお金は大事よ。でも、お金は手段であって、目的ではないわな。目的によって使い方が変わってくる。ただ、その使い方で人の本性って露わになるんじゃねぇかなぁ?別に浪費しろって言ってるんじゃねぇの。長兵衛みてぇにアカの他人にくれてやれって話でもねぇ。生き銭を使えって話。もし本気で付き合ってる女性だったら、メシを奢るぐれぇの甲斐性を持てって話だよ。イヤんなっちゃうなぁ、もぉ。
あとな、落語を聴け!歌舞伎を観ろ!先達が培った日本人としての価値観が凝縮してるのが伝統芸能なんだから、それを感じろ!現代人が忘れた日本人としての誇りみたいなモノを思い出させてくれるよ。

落語名人会(43)文七元結

落語名人会(43)文七元結