志の輔らくご@EX THEATER ROPPONGI

左足の親指の付け根の痛みはいつの間にか引いたモノの、気が付いたらもぉ12月も半ばを過ぎ、今度は年賀状を作らなきゃならねぇんで憂鬱なTARです。メンド臭ぇけど、出さねぇワケにもいかねぇし。ホント、一年って早いわぁ。年々早くなってる印象。来年は午年。まさにホースイヤーになりそうね。


昨日は、今年のイベント納めというコトで、六本木に新しくオープンした劇場「EX THEATER」の柿落とし公演『志の輔らくご in EX THEATER』に参戦。今まで渋谷のPARCO劇場で打っていた公演を六本木EX THEATERに移しての公演。EX TEATERはテレ朝の劇場とのコトで、他の柿落とし公演ではテレ朝御用達アーティスト『B'z』のライヴもやったりするような多目的なスペース。劇場というよりも大き目のライブハウス。黒を基調にした近代的なデザインで、古典芸能である落語の高座を打つには少々場違い感もありつつ入場。それにしても、お恥ずかしい話、オレ、人生初の生高座。CDやPodCastで落語は聴いていたけど、生で高座を観るのは初めて。しかも、相変わらず、うちの大番頭Sが”特殊能力”を発動させて、最前列ド真ん中での鑑賞。あまりに近すぎてTVで観てるような感覚。生の意味が無くなっちゃった。たった2日間の公演だってのに、こんな席を押さえるあたり、特殊能力のスゴさをまざまざと見せつけられた感あり。こんなコトで運を使い果たして大丈夫か?って心配になるけど。


志の輔師匠と言えば、独演会のチケットが取れない噺家の一人に挙げられるだけあって、1200人規模の劇場内は満席御礼。六本木という土地柄、若い人が多いかと思ったら意外にお歳を召した方が多い印象。平均年齢で言ったら50代半ばってトコ?男女比は半々ぐらいかな。ただ、常設の寄席はさらにお歳を召した方が多いだろうから、逆に年齢層が若いと言ってもイイのかも。わざわざ六本木に落語を聴きに来るって、やっぱり好きな人は年齢に関係なく好きなんだろうなぁ。とは言え、落語ファンじゃない人にとっては「志の輔ためしてガッテン」ってイメージなのかね?(ロビーには山瀬まみからの花も出てました)噺家なのに珍しいよね。一時期、こぶ平(現正蔵)師匠がバラエティ番組に出過ぎて本業の落語をおろそかにしてるって叩かれたけど、最近は全然TVで観ない。そう考えると、志の輔師匠や鶴瓶師匠は息の長いバラエティ番組(それも、どちらもNHK!)に出演しながら、独演会も精力的にこなしてる。結局はバランス感覚なんだろうけど、その二人の東西両巨頭が仲がイイってのも面白いね。昨日も鶴瓶師匠がタコ焼きの差し入れを持って楽屋に来てた模様。来年、鶴瓶師匠もココで独演会をやるらしく、劇場の様子見だって。それも楽しみ♪


いつもの『志の輔らくご』では、新作落語古典落語を一席づつ高座に掛けるパターンだったのが、今回は柿落とし公演ってコトでお祝いの意味もあったのか、新作二席と古典一席。三席も演ってくれるってんだから、柿落とし公演ってのはイイモンだねぇ。新作落語は、源泉掛け流しの温泉宿に泊まりにきた男三人組と、奇妙なおもてなしを繰り返す女将とのやりとりが滑稽な『ハナコ』、勤続30年を迎えたお父さんとその家族との、勤続30周年の風変りな記念品を巡る攻防を描いた『ディア・ファミリー』の二席。古典落語は、ワケあり男と健気なしじみ売りの少年との因果を巡る人情噺『新版しじみ売り』の計三席。そしてカーテンコールに三本締めで締めくくり。19:00開演で終演が21:45。幕間に15分の休憩を挟んで、ガッツリ2時間半の濃厚な公演。いやぁ、堪能させていただきました。演劇とは違い目線が大きく動くコトもないから、集中が途切れるコトがない。ぐ〜っと落語の世界に没頭できる。完全に非日常世界。ただその分、最前列は若干見上げる視線になるんで一席終わるとクビが凝ってガッチガチ。まぁ贅沢な話ですわ。


それにしても、志の輔師匠、上手いわぁ。上から目線とかじゃなく(最前列は下から観てるんだって!)、観ている方が”唸る”ってこういうコトか、と。”渋い”とか”安心して観てられる”とか安直な言葉じゃなく、滋味溢れる話っぷりと言うか、スーっとカラダに染み入るような落語。元々、師匠の声は低く落ち着いてるから、聞いてるだけで耳が喜ぶ。話すペースやトーンも静かに流れるようなんで、ジャズのようにいつまでも聴いていたいと思わせる。しかも今回は独演会ってコトで、後に演者が控えてるワケでもないから、たっぷりと間を取って演じてくれるんで、さらに引き込まれる。『しじみ売り』では、男が雪降る中を歩く最後のシーン、三味線の音も入り、しんしんと降る雪が目に見えるよう。落語だってのに泣きそうになった。師匠もカーテンコールで「気が付いたら、もぉこんな時間でございます。夢のような時間でございました」と言ってましたが、それはコッチの台詞です。あとね、師匠、さすがに佇まいが粋。妙にチカラが入ってるワケじゃなく、自然体で粋。広い舞台の真ん中にただ座ってるだけなのに凛としてる。三席とも着物を替えて演じてくれたんだけど、最初の一席目『ハナコ』は華やかな浅黄色の着物。二席目『新版しじみ売り』では漆黒の着物で落ち着いた印象。三席目『ディア・ファミリー』は萌木色の羽織に、目の覚めるような橙色の着物。演目に合わせて、着物の色も替える。その心遣いが、さすが古典芸能。オレもそろそろ着物が着れるようにならないとダメだな。


ロビーの物販で手拭いがあればと思っていたけど、残念ながら手拭いはナシ。その代わり、志の輔師匠の焼き印が入った一合升が売ってたんで2つ購入。これで来年もマスマス発展できるでしょう。


<おまけ>
相変わらず目ざといTARさん、今回はロビーで山田まりやを発見。黒いワンピースにメガネ。しかも激ヤセ。一緒に居た大番頭Sも「めっちゃヤセてない?本人?」って信用してない様子だったけど、調べてみたら、彼女、クローン病っていう難病の疑いがあり、10年前から闘病生活を送っているとのコト。言われてみれば、野田地図にも出演したコトがあるくらいイイ女優さんなのに、最近は舞台にも出てないなぁ。お子さんも小さいようなので、ムリをせずに、いつかまた舞台に戻ってきてくれるコトを願います。