日頃からの心掛けが大事だよって話

阪神淡路大震災が発生してから19年。神戸の街は復興したけれど、犠牲者のご遺族の心が完全に癒されるというコトはないでしょう。それは復興が進む東日本大震災も同じコト。天災とは言え、親族・友人を亡くされた方々のコトを思うといたたまれなくなる。謹んでお祈り申し上げます。TARです。



オレが私淑している神戸女学院大学名誉教授の内田樹先生の著書。思想家、哲学家であり武道家でもある先生の思想を記した単行本を文庫化したモノ。内田先生はフランス文学の翻訳家でもありながら、映画やマンガ、落語や能といったサブカルチャー(?)にも造詣が深く、オレの憧れの存在。この本は、オレが初めて買った内田先生の本で、この本をキッカケに先生の著書をちょこちょこと買っては読んで、今に至るってカンジ。この本が発刊された時期ってのが、オレの大阪転勤が決まって超ブルーになってた頃。大阪で生まれたとは言え、ビタ一文住んだコトもねぇ大阪という土地に引っ越すにあたって、すげぇ不安だったのは事実。特に治安や文化。出来ることならば『邪悪なモノ』には係わりたくないという思いから、すがるような気持ちで購入した次第。(誤解がないように補足しますが「大阪=邪悪」という意味ではなく、大阪は他の地区と比べてちょっと邪悪なモノ・コト・ヒトが多いと思うだけ。あ、ほぼ同じか)タイトルだけ読むとティーン向けのファンタジー小説みたいだけど、内容はとても思想的で、だけど分かり易い日本語で書かれているため非常に読み易い。


この本を紹介するにあたって、自宅にある単行本を読み返したワケではないんだけど、オレのネタ帳にこの本から感銘を受けた内容が書いてあるのね。その内容をザックリと要約すると『瘴気(イヤな雰囲気や険悪なムード)を感じられない人間は、他人の悪意や邪気にも気が付かないため、己の身を危険にさらす可能性が増える。同様に他人の好意や親切にも気が付かないため、ゆっくりと確実に社会というネットワークから疎外されていく』というモノ。恐っ!よく考えるとスゴい怖い内容でしょ?結局は、人は一人で生きてるワケではないんで、他人との係わり合いの中で日々を過ごしている。世の中には色んな人が居るから、現代社会という大きなネットワークの中で生き抜いていくためには、他人がどのように思い、どのように動くのかを察知し、それに自分がどのように対応するかが重要をいうコト。コレが出来ないなら、山奥か無人島に籠って、たった一人で生きていくしかない。


『君子、危うきに近寄らず』とも言うように、賢い人は明らかに危険・怪しいと思われるようなコト・モノには手を出さないモノ。この本の根底にあるのは『最強なのは危険を察知する能力』ってコト。自分に害を及ぼすと思われる要因は出来るだけ排除して生きていくようにすべきという教え。そのためには、常にアンテナを立てて周りの状況を把握するようにする。もし少しでも変化があるようなら原因を究明し、危険信号が点るようなコトならば素早く退避できる体勢を取る。これが現代社会を生き抜く術ってコト。世の中には、邪悪なモノやコトに強く惹かれる人も居て、自らを進んで危険に晒すコトでなんらかの満足を得るようなタイプが存在する。しかも性質の悪いコトに、そういう人は他人をも巻き込もうとする傾向がある。そういう人を自分の行動範囲に入れないように心掛けるコトは非常に重要。ただし、注意していても不可抗力的に巻き込まれるコトもある。そういう時でも、事前の心構えさえあれば素早い対応で被害を最小限にするコトが出来ると内田先生は説いている。冒頭にも書いたけど、内田先生は合気道7段の武道家でもあるんだけど、結局、合気道も自分から相手を攻撃する武術ではなく、相手の攻撃をいかに上手くいなして、それ以上自分に攻撃をさせないようにするコトを極めるモノ。相手の悪意を察知し、素早く対応するコトが求められる武道。日々をダラダラと生きていちゃいけないよって教えだね。オレはこのコトを忘れないようにと思って、ネタ帳に書いたんだと思う。忘れてたけど。


散々報道されている首都直下型の地震もいつ発生するかは分からない。でも、常日頃から心構えと準備だけはしておくコトが重要。それでもやっぱり自然の猛威には勝てるワケもないんだから、被害は最小限に抑える努力だけは日本人ひとり一人が心掛けるようにしないと。阪神淡路大震災東日本大震災で得た教訓と合わせて、これ以上の被害が出ないようにしたいモノです。