劇団柿食う客『世迷言』@本多劇場

あ、そう言えば、人間ドックの後にクルマのディーラーに行ったのね。そりゃあ折角1日休みを取ったんだから有意義に使わないとね。ってコトで、クルマの半年点検をしてもらったんだけど、ついでにコスったトコロも見てもらったら、なんと!キレイになりました!キズかと思ってたのは、実はコスった立体駐車場の鋼製の柱の塗装がガッツリ付着してただけの話で、キズらしいキズはほとんどナシ。よくよく目を凝らせば「あぁ、キズがあるねぇ」って程度。いやぁ、安心したわぁ。


で、人間ドック、クルマの定期点検と立て続けに用事を済ませて、夕方から下北沢へ。劇団柿喰う客の舞台『世迷言』の初日公演を観劇しに、本多劇場へ。なんだか芸能人の休日みたいでしょ?ウフフフ。で、この日は観劇部としての今年一発目の部活動。一時は部としての存続自体も危ぶまれましたが、なんとか活動が継続できるコトになり、ほっと一安心。って言っても、ただいつものメンバーで舞台を観て、その後グダグダと飲みながら感想を言い合うってだけの活動なんだけどねん。さてさて、昨年オレが初めて観た柿喰う客の人気シリーズ『女体シェイクスピア』とは趣きが異なる今回の舞台『世迷言』は、ネタバレになるから詳しくは書きませんが、日本古来の御伽噺をモチーフにした新作。日本人なら誰でもが知ってる有名な御伽噺が元になっているんで設定は古典ながらも、舞台装置、衣装、演出、音楽、全てが現代的でスタイリッシュ。


1年半振りの劇団本公演というコトで、柿喰う客の劇団員の他に、何名かの客演が参加。特筆すべきは「現代劇の女形」との異名を持つ篠井英介の参加。えらい大物を引っ張って来たな!ってトコロから、劇団としての人気や勢い、チカラの入り方が分かるというモノ。篠井さんクラスって、ポッと出の劇団公演にゃ出ないでしょ?やっぱり勢いがあるんだなぁ。初日ってコトもあったけど、確かに客席は満員御礼。それも女優しか出ない『女体シリーズ』とは違って、女性客9割ってトコ。男の劇団員が出る公演は女性客が多いね。それも結構なご年配のマダームもチラホラ。わざわざ本多劇場まで来るってコトは、関係者・身内以外は余程の劇団ファンなのかな?まぁ、確かに看板俳優の玉置玲央は、森山未來を彷彿とさせるルックスとカラダのキレを持つイイ男。若い女性の演劇ファンのみならず、ステキなマダームまでも虜にしてしまうのかも。個人的な主観ですが、篠井さんは別にして、彼一人だけ別格のオーラ。演技が上手いって言うより、雰囲気があると言うか、色っぽいと言うか。つい彼ばかりを目で追っちゃうカンジ。まぁ、他の役者もイイんですがね。あと、元々『女体シリーズ』自体、男性の役も女性が演じるっていう、言わばユニセックスの配役をする中屋敷だけど、その特徴が、篠井さんが入るコトでより際立ってる印象。男性の役を女性が演じ、女性の役を男性が演じる。それでも全く違和感を感じさせない演出。全公演で行われるオールキャストをシャッフルして上演される「乱痴気公演」があればコソの経験値なのかな?劇団全体で上手いです。


観終った後の正直な感想は「あれだけ広げた大風呂敷をキレイに畳みやがったな」ってカンジ。まぁ、上手いわ、中屋敷法仁!完全にヤラレた!前回の『失禁リア王』も、とんでもなく長いシェイクスピアの戯曲をキレイに一時間半に落とし込んだ手腕に感服したけど、それが遺憾なく発揮されてる。今回は完全に中屋敷のオリジナルってコトで、正直「お手並み拝見つかまつる!」ってなぐらいの期待値だったんだけど、見くびってた自分に反省。観てる途中は「どれだけのシークエンスが輻輳するんだよ、コレ!」って、ちょっと心配になるくらいだったけど、「おぉ!ソコとソコを繋げるか!」とか「アレが伏線だったのか!」と、観ていて気持ちがイイくらいにキレイにハマっていく。かなりのカタルシスが得られます。


柿喰う客自体が本多劇場初公演だったらしいけど、多分、次は渋谷か池袋になるんだろうなぁ。オレ個人の感想では、中屋敷のスタイルが野田地図(野田秀樹)に近い印象だから、池袋に行くんじゃねぇかと思ってるけど。少しでも興味があったら、是非観て欲しい劇団です。オススメちゃん。